前回、WestcloxのMIL-W-46374Aのムーブメントはまだ見ていないというところで終了していました。
早速、開けてみました。
17石のSEIKO 6602Bが入っているのではないかと思っていましたが、7石のSEIKO D407が入っていました。
「MILITARY TIMEPIECES」には、3種類のムーブメントが載っています。
26-D(7石)、D407(7石)、6602B(17石)の3種類です。同じプラスチックのケースで7石と17石が混在しているのは面白いですね。6602Bが搭載されているものでも、プラケースの裏の記載内容は全く同じでした。
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WESTCLOX NO. 75092
FED STOCK NO. 6645-952-3767
CONT NO. DAAA25-70-D-0335
DATE SEP 1970
さて、では、HAMILTONのMIL-W-46374シリーズを見ていきましょう。
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STCK NO. 6645-952-3767
MFG PART NO. 39988
CONT NO. DAAA25-72-D0458
DATE APRIL 1973
MIL-W-46374Aは基本的にはワンピースタイプのケースですが、オーストラリア向けのものでは、スクリュータイプのものが存在します。
この時計には7石のS.T.C.446が使用されています。S.T.C.とかS.T.CO.というのは、Standard Time Corp. という社名のようです。Hamilton傘下の会社みたいです。
では、46374Bを見てみましょう。
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STCK NO. 6645-00-952-3767
MFG PART NO. 39988
CONT NO. DLA-400-80-C-2937
DATE AUG 1981
この46374Bには、7石のS.T.C.466が入っています。46374Bの初期には446が搭載されていることもあったようです(466と紛らわしいですが、446です)。そして、S.T.C.447が搭載されているものも比較的に多いようです。S.T.C.447と466は、Durowe 7420がベースのようです。
次は、最後の46374Dです。
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STCK NO. 6645-00-066-4279
MFG PART NO. 39986
CONT NO. GS-00F-01101
DATE APRIL 1988
SERIAL NO. 822703
46374Dでは、ハック機能付きの17石のETA2801-2に一気にグレードアップします。
HAMILTONとしては、1983年で、MIL-W-46374Bの生産を終了し、一旦、46374シリーズから離れます。GG-W-113はそのまま1986年まで生産を続け、MIL-W-46374Dに統合されます。
ちなみに、MIL-W-46374Cは、Stocker & Yaleのプラスチックのケースのものです。
これですね。
どうも、HAMILTONは、1983年にMIL-W-46374Bの生産が終了した際に、その生産能力が余ったために、民生品のKhakiシリーズの生産をスタートさせたようです。
中身はMIL-W-46374Bの方ではなく、ハック機能付きの17石のムーブメントHamilton Cal.649(ETA2750ベース)を使用していたGG-W-113を受け継いでいます。
これがKhakiの9219モデル誕生の流れではないでしょうか?
そして、1986年にGG-W-113が終了して、ETA2801-2を搭載した、MIL-W-46374Dに受け継がれるので、HAMILTONは、また46374シリーズの生産を開始することとなります。これがKhakiの9415シリーズに繋がっていくのだと思います。
よって、9415シリーズは1986年か1987年頃にスタートしたのだと思われます。
HAMILTONはMIL-W-46374Dで終了し、MIL-W-46374E(1989年)から軍への納入は行っていません。
もしかしたら、これらの部品の在庫を90年代に使い果たして、ムーブメントのスペーサーがプラスチック製へと変わった9415Aシリーズに移行したのかもしれません。
軍用の時計から民生用のKhakiシリーズへの移行していく、全体の流れはこんな感じだと思います。