基本的にカーキシリーズのコレクションは、ジャンク品を安く入手して、修理して楽しむということを趣味としています。まだ修理ができていないものもたくさん眠っているので、カーキシリーズの紹介と共に修理を順次行っています。先週末にジャンク品のKhaki Automaticを分解したので、記事を書いておきます。
今回のKhaki Automaticもかなりひどい状態です。ゼンマイを巻いても動かないということでしたので、早速確認してみます。
リューズ(竜頭)を回した感じは、ゼンマイが切れているような感じではありません。完全に巻き上がっているのに、全く動かない状態です。
かなり傷が多いケースです。
ムーブメントはETA.2824-2です。
針を抜こうと思ったら、短針が文字盤に当たっています。
でも、文字盤はピッタリ当たっているようにも見えます。
短針が擦れていたところに1周、スジが入っていますね。あと光の角度を変えると6時付近にも傷があります。かなり変な状態なので、少し不安になります。
自動巻きのローターを外すと、ネジが一本ありません!
これ、完全に素人が修理しようとバラした個体ですね。こう書いている僕も素人ですが、いちおう、「ヒコ・みづのジュエリーカレッジ」で機械式時計の基礎講座を受けたことはあります。
で、動かなかった原因はというと、3番車の軸が折れていました。
これでは、うまく回転できません。
他のムーブメントの3番車を見てみると、
こんな感じです。ただ、ETAの部品の入った、パーツボックスを探したのですが、ちょうど合うものがありませんでした。
なんとなく、輪列受が曲がっているような気がします。おそらく、軸がきっちりと入っていないのにネジを締め付けたのではないかと思われます。
それで、受け板も曲がってしまったのではないかと・・・。
ということで、受け板は修正するとして、足りないネジや3番車を発注して、届くのを待ちます。
ちなみに風防ガラスやケースも傷だらけなので、研磨する予定です。
幸い、コーティングなしのミネラルガラスなので、研磨して傷を消すことは可能です。
まぁ、この辺りは、本業がカメラレンズの技術者なので、専門ではあるのですが、会社の装置を使うわけにもいかないので、自宅で何とかします。時計の風防は光学レンズではないので多少球面が狂っても問題はありません。光学レンズであってもメガネのレンズはかなり精度が悪かったりもします。球面ガラスなので、真面目に手で研磨するのであれば、すり合わせる凹面のガラスを製作し、トモズリしながら精度を出せばいいのですが、今回はそこまではやるつもりはありません。
良く理解していない人が、ひどい作業を行った時計は、色々細かい問題が出てしまっている可能性があるので、まともに直るかどうか・・・。
いちおう、カーキの連載とは別記事ということにしておきます。