昨年10月に、日本未発売のQ Timex Reissue Digital LCAを購入しようと輸入代行に依頼していたのですが、Timexの商品発送の手違い、郵送でのトラブルが重なり、今年2月にようやく代行業者の倉庫に到着しました。そしてようやく手元に届きました。
発売されてから結構人気があったようで、eBayでは高値取引されたりしていましたが、Timexのアメリカ本家のサイトでは在庫があるようになりました。
セイコーによると1969年12月25日に世界初のクオーツ腕時計「セイコークオーツアストロン35SQ」を発売したとのことです。機械式腕時計の針によるアナログ表示をそのままにして、駆動方式を置き換えた形です。
1970年5月6日に、世界初のLED式デジタルウォッチとしてハミルトンが パルサーを発売します。腕時計における伝統的なアナログ表示からデジタル表示がここからスタートします。自発光のLEDは電力を大量に消費するので、常時表示が困難だったため、ボタンを押すと時刻が表示される仕組みがとられていました。
そして、1973年、セイコーはFE(Field Effect)方式の液晶を搭載した世界初6桁表示デジタルクオーツ「液晶デジタル腕時計 06LC」を発売しました。同じ年にシャープは液晶を用いた電卓を発売していて、一般的な製品に液晶表示が普及していくことになります。
1970年代から80年代にかけて液晶デジタル表示のクォーツ式時計が爆発的に普及するようになりました。液晶時計の大本命G-SHOCKが1983年に登場します。
80年代になると、機械式腕時計は高級腕時計やごく一部の時計に採用されるだけになり、一般的には、クオーツ式でアナログ表示かデジタル表示を選ぶという感じでした。しかし、アナログ表示の視覚的に直感で時間を読み取ることができる機能とデジタル表示で間違わずに確実に時刻を読み取る正確性の両方の機能が欲しいという欲張りな欲求を満たしてくれる時計として登場したのがデジアナ時計でした。
色々調べていると国産初のコンビネーション腕時計として、シチズンが「デジアナ」を1978年に発売していることが分かりました。
アナログ表示がメインで、デジタル液晶が小さく表示されるものはデジアナではなく、アナデジらしいです。これも国産初となっていますが、アナログ主体だからといってデジアナと仕組みは同じだと思うのですが・・・。
ただ、わざわざ国産初と書いているということは海外では既にコンビネーションウォッチは存在していたんだと思います。ちょっと調べただけでは、答えは見つかりませんでした。
僕の兄は、液晶表示がアナログ文字盤の上に重なって表示されるタイプのハイブリッドウォッチを持っていました。
今回のTimex Digital LCAの復刻版の話題に戻りますが、こちらは、アナログ表示といっても液晶でのアナログ表示となっています。この表示が見やすいかどうかは微妙な感じですね。
ただ、忠実に復刻されているので、当時の雰囲気をしっかり出しています。発売初期は液晶ディスプレイが斜めになっている不具合が多発していたようです。Timexのサイトのレビューでの苦情が多く見られましたが、現在は改善されたようです。
HODINKEEの記事にもあるように、夜に時刻を見るためのライトはTIMEXお得意の全面バックライトのINDIGLOではなく、横から1灯の小さなライトだけで照らすだけのものなので、はっきり言って頑張って見ないと読めません。
これも当時のものを忠実に再現していて、見にくいなぁと言いながら、ノスタルジーに浸れるというものなのでしょう。
GIZMODEの記事にApple Watch Series 3とほぼ同じ値段ということが書かれていますが、そもそもそういう比較をする対象のものではないのです。
時計に限らず、モノを単に利便性やコストパフォーマンスだけで語る記事はつまらないですね。「高級腕時計は必要か」みたいな議論には意味はないと思っています。
かつて、ウブロの会長であったジャン・クロード・ビバーは、GQのインタビュー記事で、インデックスも針も文字盤もすべてブラックで統一した“オールブラック”という時計について、どうして読めない時計を作ったのかと尋ねられ、「いまどき腕時計で時間を見る人なんていないだろ!」と答えている部分がありますが、はい、まさにそういう感覚です。
最近のオールブラックモデルはこちら。
個人的には、芸術に対する理解と似たようなものだと思っています。
※2021.08.04最新記事を追加