少し前にコクヨから「本当の定規」が一般販売されました。ネットニュースで見てすぐに予約したので、発売日に入手できましたが、人気があり過ぎて入手が困難になっているようです。
どういうものなのかは上のリンクのコクヨのページを見てください。言葉で説明すれば、「従来の定規は目盛りの線幅分だけ正確さを欠いているので、目盛りを白黒に塗り分けてその境目で測れば線幅が無いので正確だ」というものです。アイデアとしては非常に面白いと思ったのですが、個人的には使いにくかったので、従来のステンレススケールの方が良いと思います。
目盛り部を拡大するとこんな感じです。
これ、目の錯覚で、黒い部分が狭く見えて、白い部分が広く見えますが、それは、白は膨張して見えて、黒は引き締まって見えるというのと、上に伸びた黒い線の影響が大きいと思われます。
正確な寸法は白と黒の境目部分なのに、黒い線は黒く塗りつぶされた部分の内側から伸びているので、短く伸びた線の間隔は広い狭いの繰り返しになっています。
長い線だけ見れば間隔は一定ですが、本来、測定に用いる黒白の境目から考えると、線幅の半分だけ左にオフセットしている状態になります。
本当はこうあるべきでしょうか?
なんかイマイチですね。
測長顕微鏡で実際の距離を測定してみました。平均するとだいたい黒い線が0.53mmで、白い部分(ステンレスのままの部分)は0.47mm程度になっています。特に黒い部分はエッジ部分に向かって少し幅が膨らんでいます。
更に拡大するとこんな感じです。
印刷なので、インクが広がりやすいのだと思います。ということで、幅に傾向性ができてしまうので、工業製品としてはあまり良くないですね。
これだったら、通常の定規で0.1mmの線幅の真ん中を目測で見るので十分かなと思います。
ということで、個人的にはJIS1級の通常のステンレススケールの方が使いやすいかなと思います。
少なくとも転売のプレミア価格で買うようなものではないと思います。