OptoEleMechの日記

主に時計、電卓、カメラの話題

TIMEX Camper

相変わらず、TIMEX MK1 MECHANICALの記事が良く読まれているようなので、一度、歴史を整理しておこうと思います。

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Camperの歴史

1980年代にプラスチックボディの手巻き式のキャンパー(当時はキャンパーとは言っていないと思います)が流行しました。

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手巻き式キャンパー

ここでよくあるのが、「ベトナム戦争時に軍に供給していたモデルを民生用として発売していた」という誤解です。TIMEXは、軍に納入しようと試作品を提供したりしていたみたいですが、結局は量産投入されることはなかったようです。実際にベトナム戦争時に軍に供給していたプラスチックのディスポーザブルウォッチとして有名なものはBENRUSやWESTCLOXのものです。

詳しくは以下の過去の記事を読んでください。

optoelemech.hatenablog.com

 

optoelemech.hatenablog.com

1982年頃に手巻き式キャンパーを発売し、1990年頃まで販売され続けました。当時は4,800円で販売されていました。秒針がホワイト、レッド、グリーン、イエローと4種類から選べました。

1990年頃に部材調達を理由に第二世代にモデルチェンジされたということになっていますが、当時はクオーツ時計が一般的になってきたため、手巻き式は売れなくなっていたのかもしれません。

第2世代はデザインがポップな感じになりました。

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第2世代

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第2世代 裏

手巻き式キャンパーは36mm径だったのですが、第2世代は34mm径になっています。やはり、元の手巻き式キャンパーの人気は根強くあり、2015年に手巻き式キャンパーを再現した「オリジナルキャンパー」が日本企画として復刻されることになります。ただ、安価な手巻き式での復刻は達成できずに、クオーツとなりました。

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オリジナルキャンパー

下の写真の左が手巻き式キャンパーで、右側がクオーツ式のオリジナルキャンパー

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手巻き式キャンパーとの比較

雰囲気はかなり良く再現できています。最初は日本だけの復刻だったのですが、海外でも人気が出て、いつの間にか通常販売されるようになりました。

本国では、アルミニウムケースの40mm径のキャンパータイプの「MK1」シリーズの一環として、「MK1 RESIN 36」として販売されていました。

第2世代のモデルが販売されていた期間もJ.CrewとのコラボレーションモデルCIRCA2008というステンレスケースのものが発売され、非常に人気がありました。

2017年に日本のみの限定モデルとして、ステンレススチールキャンパーリミテッドエディションというモデルが1,500本限定で販売され、すぐに完売となり高値取引されることとなります。

その後、2018年に風防をガラスからプラスチックに変更したSSTキャンパージャパンエクスクルーシブというモデルが発売されます。

それがこちらです。本国ではこちらもSTAINLESS STEEL MK1として販売されていたようです。

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SSTキャンパー

当時、1,500本限定のモデルをプレミア価格で購入して、すぐに似たモデルが再版され、がっかりしていた人が多くいました。ただこれらもクオーツだったので、手巻き式を望む声は多くあったようです。

ようやく2020年に手巻き式のモデルとして、MK1 MECHANICALが発売されることとなります。

 

それが、今も人気のこちらです。

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MK1 MECHANICAL

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比較

ステンレスキャンパーと針は同じようです。文字盤のアワーマーカーの三角が無くなり、文字盤がグリーンになったので、少し雰囲気が違います。

このあたり、昔の33mm径のHAMILTON Khakiとわざと違いを出したのでしょうか?

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HAMILTON Khaki

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MK1 MECHANICAL

ただ、やはりMK1 MECHANICALの惜しい点は、ムーブメントだと思います。

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SEAGULL

シーガルのムーブメントが悪いとは思いませんが、余っている部品を安く購入できたのか、スケルトン用の装飾入りの部品が使用されています。また、焼いて青くなったのではなく、青く塗装されたようなネジを用いた小さなムーブメントが、大きなプラスチックスペーサで固定されているのは、ミリタリータイプの時計としては残念です。

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小さいムーブメント

本物の軍用時計をそのまま民生品に流用したHamilton Khakiの中と比較すると、原価をできるだけ抑えて、よく売れるモデルを企画した感が強くあります。

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軍用HAMILTON

ただ、MK1 MECHANICALは、良く出来ている時計だと思いますので、これから色々改善されていくことを期待しています。