オールドカメラを使用する場合に、シャッタースピードテスターがあった方が、何かと安心です。古い機械式時計においては、タイムグラファーがあると時計の姿勢差による進み具合の違いとかがすぐに確認できるのと同じように、機械の健康状態が把握しやすくなります。
ということで、まず、昔やっていたのと同じように、フォトICの出力をオシロスコープで確認してシャッタースピードを正しく測定できそうかを確認してみます。
ブレッドボード上で、センサー部と赤外線LEDを使えるように回路を組みます。
今回は、応答性をよくするため、赤外線センサーのHoneywell SDP8600-001を使用しています。昔購入してあったものをパーツボックスから見つけましたが、現在は廃番のようです。高速応答のフォトICって、あまり無いようですので貴重です。
赤外線LEDを照射すると、出力がちゃんと出ることを確認しました。
赤外線LEDとセンサの間にカメラをセットし、出力にオシロスコープを接続します。
赤外線に反応するので、電灯下だと反応しません。光源を用意しないといけないのは面倒ですが、一般環境下で計測できるのは助かります。
10年以上前に購入したPCオシロなので、Windows10で使用できるようにするのに手間がかかりましたが、とりあえずセットアップが完了。
シャッター速度を1/500にセットし、オシロスコープの波形を見ます。
こんな感じです。横スケールの1目盛は、1msです。1/500秒は2msなので、2目盛分になっているのが正しい状態です。少しシャッターが開いている時間が短いようですね。
とりあえず、シンガポール製Rollei35のシャッタースピードを各スピード2回ずつ計測してみた結果がこちらです。時間算出はソフトのパルス幅計算機能を使いました。
2列目は理論値です。右端の%は理論値に対する誤差の割合を示しています。
Shutter Speed | [ms] | 1st | 2nd | Ave | % |
1/500 | 2.00 | 1.84 | 2.30 | 2.07 | 3.50 |
1/250 | 4.00 | 4.74 | 4.16 | 4.45 | 11.25 |
1/125 | 8.00 | 8.72 | 8.92 | 8.82 | 10.25 |
1/60 | 16.67 | 17.76 | 16.72 | 17.24 | 3.44 |
1/30 | 33.33 | 30.20 | 31.20 | 30.70 | -7.90 |
1/15 | 66.67 | 58.80 | 57.60 | 58.20 | -12.70 |
1/8 | 125.00 | 108.00 | 108.80 | 108.40 | -13.28 |
1/4 | 250.00 | 232.80 | 228.80 | 230.80 | -7.68 |
1/2 | 500.00 | 466.00 | 462.00 | 464.00 | -7.20 |
これを見ると、おおむね良好じゃないでしょうか?個別の誤差を見るとプラス側で+18%ぐらい、マイナス側で-14%の誤差になっています。シャッターが開いている時間が倍になれば+1段分、半分になれば-1段分の変化となります。
0.2-0.3EVぐらいの誤差ということでしょうかね?
カメラとして、1段ずつの調整しかできないので、これであれば十分誤差レベルと考えて良いと思います。
ちなみに、電圧の立ち上がりは仕様通り十分早かったので、1μsecの分解能の時間計測が出来そうな気がします。32ビットのマイコンを使用すれば、切り替えなしで、1/8000秒から数十秒の計測が出来そうな気がします。
現在、必要な電子部品を発注していますが、マイコンのプログラムは久々なので、思い出すまでが大変かもしれません。また、32ビットのマイコンを使うのは初めてなので、特殊な作法とかが無いか心配です。