実家から持って帰ってきた、35年以上前の自分の一番最初の腕時計CITIZEN SPALDING XC-7の分解掃除をしました。
今までの経緯はこちらです。
電池を交換しても動き出さなかったのですが、パルスは出ていたので回路の故障ではなく、オイル切れ等で針が動かなくなっていると考えました。
とりあえず分解掃除をしてみます。
針を外して、部品をどんどん外していきます。
最終的には完全に分解して、洗浄しました。
そして、今度は逆の順序で組み立てていきます。心臓部も組んで、蓋をすれば完成です。
ここで、やらかしてしまいました。輪列受けを被せた際に、ステップモータのローターの軸がきっちり入っていないまま、輪列受けを少し押しすぎてしまいました。
上の写真の青色で丸を付けたローターの軸が曲がってしまったので、修正しようとしたら折れてしまいました。時計旋盤を持っていないので、軸の修理は出来ません。
ということで、オークションで同じムーブメントを使用している時計を安く落札しました。CITIZEN ATTESA 3810-451716です。
この時計には個人的な思い入れは無いので、ドナーとなってもらいましょう。
ムーブメントは、3810Aで同じなので、一安心です。そして、下の写真が取り出したローターです。
軸の径は0.1mm程度です。今度は輪列受けを慎重に取り付けて、針を付けて確認します。
問題なく、秒針が動き出しました。
洗浄したケースにムーブメントを戻して、パッキンにグリースを塗って、蓋を閉じれば分解掃除は完了です。
バネ棒を交換して、洗浄済みのナイロンストラップも取り付けて、完成です。
風防のガラスは交換しなかったので、左下に深い傷が入ったままです。ベゼルは溶剤で出来るだけきれいにしました。
下の写真2枚が分解掃除前なので、かなりきれいになったと思います。ケースの錆も削り落として、表面のブラストの状態を出来るだけ合わせておきました。
さて、ローターを何とか修理できないかとチャレンジしてみましたが、やはり時計旋盤が無いと穴を中心に開けるのは困難でした。
フライス盤を使って、センタードリルで棒の中心に開けられないかをトライしてみました。一度、少し印を付けて位置ずれを顕微鏡で測定して、その分を修正すれば、10ミクロン程度までは合わせることができますが、部品を付け替えると位置が再現できないので、センターに合わせることができません。軸モノの場合、専用のチャックが無いと芯を出すことができません。
加工対象物の横にダミー加工用のものを取り付けて、そこに印をつけて機上で顕微鏡で相対距離を出して、穴を開ければ何とかできるかもしれません。とりあえず時計は直ったので、目で横から見て位置を合わせて穴を開けてみました。
激安の極細ドリルは、ドリルの歯を加工したときの切り屑が上に絡まったままでした。
ピンバイスにローターを取り付けて、横から目で位置合わせをしてセンタードリルで少し穴を開けて、0.1mmのドリルで穴を開けてみました。結果としては失敗でした。
穴を開けた後に真上から見ると、約50ミクロンぐらい芯がズレていました。
ギアを横から見ても外形が良く分からなかったのが敗因でしょうね。
ミニ旋盤に8mmのチャックを取り付けて、芯合わせをしっかりやった方が精度は出せそうですが、チャックを主軸とテールピースの両方買わないといけないので、時計旋盤を導入した方が簡単そうです。
ただ、時計を自作したり、部品を完全に1から製作する以外では時計旋盤は必要ないので、汎用旋盤で対応できるのが本当は一番良いのですが・・・。