シチズンのクオーツ時計の分解掃除でローターの軸を折ってしまいました。今回は同じ種類のムーブメントから移植して対応しましたが、部品が入手できない場合を想定して、部品を自作できないかを検討してみました。まず汎用小型旋盤でどこまでの加工が出来そうか試してみました。
まずステンレスの棒から、直径1mmの軸を作成します。
テールストックにコレットチャックを取り付け、センタードリルをセットします。
顕微鏡を見ながら、センターに印をつけます。
顕微鏡ではこのように見えます。
何となく、中心に印が付いているようです。旋盤を購入した際にテールストックを調整したっきり、一度も調整していなかったのですが、今でも、ほぼセンターが出ているようです。
では、0.5mmまで径を小さくしてみます。一度、マイクロメータで軸径を測定し、その値をDRO(デジタルリードアウト)に入力し、その後、直径0.5mmまで切り込みます。
次に、最初にセンタードリルで付けた印を利用して、直径0.2mmのドリルで、穴開けをしてみます。顕微鏡の数字はややこしいのですが、細かい1目盛りで0.05mmです。0.2mmのドリルは4目盛り分の太さです。
どのように穴が開いたか確認してみましょう。バリがあって分かりにくいのですが、ほぼセンターに開いているみたいです。
ということで、直径0.5mmに直径0.2mmの穴を開けることができました。
続いて、直径0.3mmにチャレンジです。
直径0.3mmまで削ろうとすると、スローアウェイバイトのツールチップの先端がかなり傷んでいるので、切れが悪くて軸が押されてしまいます。少し負荷がかかって先端では軸が曲がった状態で切れるので、結果的に径が太くなります。
直径0.3mm部分の長さは2mmです。それにしてもチップの先端がガタガタですね。
本当に何か部品を作る時は、完成バイトを自分で鋭利に研磨したものを使えば、改善すると思います。
とりあえず、直径0.3mmの軸が出来たので、0.1mmの穴を開けてみたいと思います。
0.1mmのエンドミルで先端に少し穴を開けておきます。
ほぼ中心に穴が開いたみたいです。
では、0.1mmのドリルで穴を開けていきます。
1mmぐらい穴を開けてみました。バリが出ているので分かりにくいのですが、明らかに偏芯しているということは無さそうです。
ということで、結構、普通に加工できてしまいました。
ちゃんと研磨したバイトを使えば、外径の加工はきれいに出来ると思います。今のままのセッティングでも意外と中心に穴が開くことも分かったので、部品が入手できない場合は自作で修理できるかもしれません。
時計旋盤の方が作業性は良さそうですが、1つだけ部品を作るのであれば何とかなりそうです。