U.S.Militaryのストラップについても、詳しい情報が欲しいというリクエストもありましたので、持っている物を確認してみました。
いわゆるNATOストラップと呼ばれているものは、時計の裏側が2重になっているタイプのものです。これは1973年の「Ministry of Defence Defence Standard 66-47」で規定されているものです。
NATO Stock Number(NSN)で言えば、陸軍、海軍では6645-99-124-2986で、空軍では6645-99-527-7059です。兵士がNATOストラップを入手するためにはG1098(略してG10)フォームに記入して提出する必要があったので、W10で使用されるようなときには、G10ストラップと呼んでいたようです。
前置きが長くなりましたが、ここでは、いわゆるNATOストラップではなく、主に米軍で使用されていたストラップ(U.S.Militaryストラップ?)を解説します。
下の写真は、軍で使用されていた本物のストラップです。
このタイプのストラップのNATO Stock Number(NSN)は、6645-00-965-1488と、6645-00-333-5396があるようです。
6645-00-965-1488
NSNは、1964年に作成されているようです。MIL-S-60127に基づく仕様のもので、後にMIL-S-46383Aに置き換えられました。
6645-00-333-5396
これは、MIL-S-46383で定義されているもので、1965年6月1日発行のMIL-S-46383A、1970年9月16日発行MIL-S-46383B、そして現行のMIL-S-46383B Type IIに至ります。
MIL-S-46383に準じるストラップとしては、3種類あるようです。
Type I : 特殊用途 非磁性バックル[3/4インチ(19.05mm)幅]
Type II : 一般用途[5/8インチ(15.875mm)幅]
Type III : 一般用途[3/4インチ(19.05mm)幅]
このあたりの詳しい解説がなかなか見当たりません。
一番詳しいのはここでしょうか?第2次大戦後のNATOストラップの歴史がまとめてあります。
さて、実際のストラップを確認してみましょう。まずは、デッドストック品の時計についているストラップを確認します。
左がMIL-W-46374A 1973年製で、右がMIL-W-46374D 1988年製です。ストラップがオリーブドラブとブラックで違いますね。
ラグ幅は、11/16インチ(17.4mm)のようです。ストラップは17mm近くありますね。
こちらもラグ幅は、11/16インチ(17.4mm)のようです。ストラップは、やはり17mm近くあります。
MIL-S-46383のType II : 一般用途[5/8インチ(15.875mm)幅]と違うのでしょうか?
では、一番最初の写真に戻ってみましょう。一番左端が、MIL-W-48374Aに付属していたものです。その隣が以前紹介したデッドストックのベルト。右から2番目がHAMILTONかBENRUSの本物についていたもの。右端も何かの本物についていたものです。
左三つは尾錠がブラックコーティングされています。
以前の記事
裏側を見るとSTAINRESS(STEEL)の記載があります。
ただ、パッと見ただけでは分かりにくいのですが、左1本がほぼ17mm幅で、右3本がほぼ16mm幅です。
左から2番目のものは1965年製のもので、eBayでの販売状態はこのようなものでした。
NSNは、6645-00-965-1488のものです。
MIL-W-46374のデッドストック品についている17mm幅のストラップをeBay等で見かけたことはありません。
下の写真のような、マルマンBENRUS、BEAMSの復刻もの、HAMILTON Khaki 9415シリーズは、全て18mmの幅のストラップです。
普通に購入できる、MIL-S-46383Bの本物のストラップはMARATHONのものです。
Ballistic Nylon Strapswww.marathonwatch.com
NSN 6645-00-333-5396は、やはり16mmしかありません。MARATHONの時計のラグ幅も16mmです。
17mm幅のストラップは謎です。